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「今、求めらていれる企業像」


株式会社ウイズダムマネジメント 中小企業診断士 長谷川好宏
 2000年時代の課題
  • 日本の産業構造の変化はきしみ音を立てて大転換しつつある。日本経済は、デフレ・スパイラル現象に陥りかけているといわれる。 国民の総資産は消費や投資に回らず、商品・サービスや工事価格の下落は止まりそうにもない。 中小零細企業は今日明日の資金繰りに四苦八苦の状況である。そこへアメリカでの驚愕なテロ事件が発生し、購買や投資への手控えによる受注減が一斉に起こっている。 大幅な売上減の影響は、未来に向けての対策どころか、中小零細企業の前向きな方策の芽さえ摘み取ろうとしている。
  • では、中小零細企業は、今、何をなすべきであるか。第二創業、経営革新が必要な時期に来ている。 急がれるのは、経営者の環境変化への対応についての考えと意識の転換である。
     
  • 経営環境の大変化は世界が単一市場になったこと。市場の競争条件が、中国に象徴されるアジア諸国の低賃金と日本の高賃金のギャップが存在するようになってきたこと。 これらにより旧来の事業システムや労働意識では立ちゆかなくなったことである。今の事業システムでは土俵の勝負がついてしまった。 中小零細企業は第二創業を企てる戦略・戦術を立て、挑戦しなければならない。そのために、「今、求められる企業像」とは何かを考えてみたい。 「求められる企業像」のキーワードは次の6つである。


 1.将来のビジョン
  • 人はビジョンを持たなければ実現化できない。米大リーグで活躍しているイチロー選手の成功は彼が自分の将来のビジョンを描いた結果である。 イチロー選手のビジョンは、野球事業の第二創業を米国で成功させたことにある。最高位のイチローの打率と盗塁は、彼の勝負への意識の集中、 十分な準備トレーニングと培った技術、勝つことへの「イメージ・トレーニング」により成し遂げたと思われるのである。  
  • 企業においても、自社の将来のイメージを描くことは極めて大切である。イメージに向かって集中していくとき、やがて不可能に思うことが実現していくからである。 中小零細企業の経営者が現在の憂慮すべき経営環境に対してマイナス思考を持ち続けるならば、その事業は急速に衰退するであろう。 しかし、経営者が自社の将来を「顧客志向」の視点から考えて、どのようにすれば、お客様に喜んでいただけるか、 また、顧客に提案していく商品(製品・サービス・工事)や事業システムに対して、勝つことのイメージが描けたならば、必ず新たな道は開ける。 ところが、売上の大幅減少で、先のことを考える余裕はないと言われる経営者が多いかも知れない。  
  • 経営者の役割は、自社をいかに環境に適応させるかという戦略の立案である。中小零細企業は、求められている企業像、自社のあるべき姿などのイメージを描くことこそ現状の打開につながる。 具体的に言えば、自社の事業システムについて、お客様との関係をぼんやりとお茶を飲みながら考えをめぐらすときに、お客様に対するアイデアが浮かんでくる。 すかさず、ひらめいたことを手許の紙の裏でも書きつづればよい。さらに自社の将来の事業システムについてイメージし、今度は集中して構想するのである。  
  • 写真製版業は印刷会社に対し製版技術で上位の立場にあった。6年前からデジタル化による小型化、コンピュータ・ソフト化によって熟練技術が不要。 印刷会社が製版設備を導入するに及んで、同業界は急速な衰退がはじまった。人員・設備のリストラ、廃業、倒産が起こったのである。 T社は3年前から危機感を抱き、他都市の製版工場を幹部社員に譲って切り離し、本社製版工場に集中した。  
  • そして、経営者は製版業の衰退と来るべき社会のギャップの中で、自社の将来の姿をどのように描けばよいかを熟考した。 彼は自社の事業ビジネスとして、強みである画像での処理を活かし、未知の技術ではあるがコンピュータ・グラフィック(CG)技術の勉強に若手人材を投入して課題を与えた。 さらに、経営者は最新技術を身につけた専門学校の新卒生を次々と採用し、CG技術開発に投入。はじめは静止画から動画へと技術枠を広げていき、顧客の信頼を少しずつ得ていった。 今年の半期決算において新分野事業での黒字化を達成し、大手企業製品広告の動画制作の受注にも成功した。この間、経営者はCGの道で必ず成功するというイメージを持ち続けた。こ の投資で財務体質は悪くなったが、いずれ製版事業は大幅に減少する、どうせ衰退するなら新分野に挑戦しようと、若手人材を動機づけした。 経営者の彼らに取った方策は、製版工場とはフロアを分け、創造的な仕事に対し、服装や時間・ノルマなどの束縛を解き放ち、若手人材を信頼し、技術目標のみを明確にし、自由に任せたのである。 T社は未だ過渡期であるが、成功に向けて着実に進んでいる。この経営者は、将来の自社イメージから戦略的意思決定をしたことと彼自身の必ずできるはずであるというセルフ・イメージを描いた結果である。


 2.社会への貢献
  • 日本の産業構造変革の過渡期でふれておきたいのは、社会に不要な企業は退場しなければならないことである。「社会への貢献」がなければ、企業の価値はない。ある企業の朝礼に出たとき、社長が「当社は法人税を納付することで社会貢献をしている」と話しておられた。納税も立派な社会貢献である。進んで納税を果たしている企業に無借金の優良企業が多いことが証明している。「社会への貢献」という理念は企業を強くする。中小零細企業が企業理念を明確にし、目的の一つに社会貢献をうたうことは、会社を成長発展の軌道に乗せることにつながることは経営理論から説明ができる。
  • そのことを(株)カリスは証明してくれた。長野県にある企業であるが、同社は総合建設業として発展している。西尾安廣社長が実兄より引き継いだときは小さい土木工事業であった。自分は日雇い労務者の親方、下請けで終わりたくない。従業員が喜んで働き、誇りの持てる企業にしたいという一念から総務担当幹部の反対を越えて日給制を月給制に変えた。月給制に変えたことで、従業員が雨の日でも給料がもらえることで驚きと感謝をした。従業員たちは、雨の日、野外の仕事ができないのに給料をもらっているだけでは申し訳ないと屋内で土木作業の用具の創意工夫、組立式移動工事事務所の製作など数々の改善。土木工事の生産性は倍増した。
  • 一方、西尾社長は、経営者の想い・哲学を従業員に伝えることと、自主的・主体性のある作業をやって欲しいために、経営理念「会社の基本的な考え方」を制定し、「仕事についての考え方・人に対する考え方・会社の仕組みや管理についての考え方・態度、姿勢に関する考え方」という4つの行動方針を定めたのである。同社のパンフには、「カリスは人と地域とともに生きる会社です」と理念の一端が書かれている。また、「わが社は地域社会から離れては存在しません」と誰がお客様かを明確にしている。
  • 企業のドメイン(存在領域)を明確にすることは、従業員に方向づけと意識を集中させることになる。こうした理念は西尾社長の高い品性と一緒になって一切の公私混同を行わない、自らの姿勢を持って従業員を教えるにつながっていった。トイレの清掃、靴を揃えるなども社長の背中から教えられたそうである(このことは従業員から聞き出したことであり、社長を尊敬して話してくれる従業員が多いのにこちらも感動した)。西尾社長は従業員を叱ったことはなく、すべて言うべきことは理念と行動方針に述べてあるとのことであった。企業理念による社会貢献という共通の価値観は従業員を一体化し、同社の躍進が始まり、「従業員のみんなが頭を使って働いてくれる。こんな感謝なことはない。」と。
  • 西尾社長は特命してくださるお客様にも、従業員とその家族にも、協力業者にも「感謝」を込めて、ギリシア語で「感謝」「思いやり」「多くの人に喜びをもたらす」という意味を持っている言葉「カリス」を社名に変更することを従業員に提案した。そして、社名の由来のギリシャにも社員旅行を敢行されたのである。  
  • 経営者も従業員も一つの共通の価値観で結ばれることこそ、どのような環境の変化にも強靱に耐え、対応できる体質をつくることになる。その底流には自分たちの仕事・作業は社会に役立っているのだという意識が流れており、このような企業理念と意識を持つべきことを(株)カリスは教えてくれている。


 3.独自の商品・技術
  • 兵庫県、大阪府は関東に比べて中小企業が多い。中小企業の低迷は、戦略がないことも一因ではないかと判断する。過去は大手の下請けで家電・繊維・造船から仕事をもらっていた。ところが、産業の空洞化により親企業からの注文が半減、或いは全く来なくなった。どこから仕事を獲得すればよいのか分からない。自立した経営をするには、商品(製品)戦略の立案が必要。それには、「独自の商品(製品・サービス・工事)・技術」を持っているか。もし、なければ、アスクル社が零細事務所向けに文具通販ビジネスを創造したように、独自の事業ビジネスを創意工夫することである。自由市場において競争優位の立場を作るには、自社の商品(製品・サービス・工事)から強みを探し、他社にまねをされない独自のモノを創りだすしかない。この自社独自のモノは、コアコンピタンス(中核技術)といわれる技術である。それは、ほかにない商品・サービス・工事のやり方・ノウハウである。自社の事業ビジネスは他社にまねをされないモノを持たなければ第二創業はできない。
  • 建築関連の空調工事業界は、サブコンの下請けにあり、建築工事の減少と工事価格ダウンにより、競争激化と指値発注で原価割れの状況にあり、廃業・倒産が起こっている。姫路にあるエアシステム(株)は、この空調工事で画期的なダクトのシーム接合工法「CDM工法」を発明し、日米の特許申請を得て、受注は拡大、特許の使用権の解放でロイヤルティ収入も得ている。2000年12月には、シーム工法の新規性・成長性から中小企業金融公庫の「成長新事業育成特別融資」の第1号融資に選定された。同社は従来のダクト施行工法の欠点であった騒音・難聴の防止、省スペース、作業工程とパーツの標準化の成果を得た。顧客からはダクト運搬の1/5の合理化により、運送時のCO2の削減83%が達成でき賛辞を受けた。CDM工法は評価され、工事の指定をうけるまでになった。まさに市場における競争優位の戦略が実現できたのである。新規性がいかに強力な商品力になるかを実証した。同社の動機は、工場の周辺にできた住宅から騒音の苦情を受け、訴えられたことから騒音のない工法の開発をしようという決定である。工場視察の時、ダクト製作工程は、ブリキ板加工品のパーツ化と標準化により、運搬及び取り置き工数は70%減、シームの電動工具開発で女性や高齢者でも作業が簡単にでき、大幅な生産性向上が観測できた。エアシステム(株)の工法の発明は、多くの中小零細メーカーや工事業に、一つのイノベーション(革新)の方向を教えてくれている。中国の低賃金に勝つ方法は日本の中小零細企業による知恵の発揮である。
  • 慶応大の清水龍榮名誉教授が説かれた「日本にある技術・資金・勤勉性・強調性などの合せ技が中国に勝つ方法である」という「合せ技」に注目したい。 これに、「工法のイノベーション」という知恵による改善が加われば、日本のモノづくり技術の伝統は復活する。勝ち残りたい中小零細企業は知恵による商品戦略(製品・工事)を取るべきである。すでに、ヘラ絞り加工業では、従来考えられなかったステンレス鋼での深絞り工法により、溶接やボルト接合という工程省略によるコストダウンが実現している。日本はレベルの高い技術、工法や精密仕上げで凌駕できるのである。
  • お勧めしたいのは小企業でも、技術開発部門を設ける。といっても兼任やプロジェクトチームでよい。技術開発・商品開発と取り組むことは会社組織に活性化をもたらす。ある零細工事業であるが、経営者が建築ユニットになる一つの発明品と取り組み特許申請をできる段階まで来た。これは、顧客の困っていることがヒントになった。この製品の機能毎に模型を作り、何度も工場の裏手で実験した。最終試作品は大学の実験データも取り試作機の完成にこぎ着けた。この間の繰り返し実験を重ねていった経過も興味深いが、毎日従業員が出社してくると経営者の顔を見るたびに、挨拶がわりに昨晩の実験の結果を聞くわけである。自然と従業員の作業効率や創意工夫が工場に見られてくるようになっていった。
  • 販売業にあっては、一般的な商品であっても業態や商品品揃えに「陳列法のイノベーション」が考えられるはずである。大阪船場の株式会社店研創意は、「ストアデポ」を出店している。ストアデポとは、飲食店にとって消耗品が倉庫代わりに在庫されている店である。消耗品というのは、割り箸・紙皿、紙ナプキン、コースター、天ぷら用吸い取り紙、プラコップ等々である。これら飲食店は安く購入するために、従来、道具筋問屋から1カートン単位で購入していたものである。消耗品は長く保管していると劣化してくるし、ほこりで不潔になる。ストアデポは、問屋と同価格で少量が購入できる。店内見学の際、お客様に声をかけてストアデポの感想を聞くと、「ムダな量の買い物をしなくてよい」「品揃えがすごい」「新しい物品の発掘」などの声が返ってきた。文具や店で使う小物がいろいろあり、飲食店でなくとも、卸値で買えて便利だ。よくこれだけ消耗品を集めたと思うが、歩いて、自転車で行けるところにストアデポのような店があれば便利この上ない。なぜ、今までこんな店がなかったのか。
  • この他にも、顧客をセグメント化した店として「ワン・ニャン喫茶店」がある。今まで、犬の散歩がてらに喫茶店に入ることはできなかった。ところが堂々とペット歓迎、ペットのメニューまで用意している喫茶店が大繁盛である。
  • サービス業では、「QBハウス」というヘアーカット専門の理髪店では「10分のみだしなみ」というキャッチフレーズで顧客をつかんでいる。いつも行く近所の理髪店のマスターに「この店はどんなお客さんに来てもらいたいのか」「自分の店の特徴はどんな点か」と尋ねた。「全てのお客さんに喜んでもらう店にして特徴を無くすより、絞り込んだお客様に満足をしてもらい、リピーターを多く持つことに努力する」などアドバイスをしてから、マスター自身も自信を持つようになり、今では予約を入れなければならないほど繁盛しておられる。こうした店の特長は、見込み客は誰であるのか絞り込まれていることである。今後のサービスや店を考えると「顧客は誰であるか」を最初に考えなければならない。

 4.高付加価値戦略
  • 買い回り品の全てが、安ければよいという安価路線に走っていることに疑問を呈したい。ユニクロ店や大創の100円均一店の消耗品的なモノ、普段着的なモノであれば安価にこしたことはないが、ステイタス的なモノ、持つことに誇りを感ずるモノもある。OL女性も安い化粧品と高級な化粧品と使い分けている。一方、エルメスのバッグは購入するのに3年間は待たねばならない。エルメスの男性ビジネス鞄は特価というから値札を見ると57万円もする。制作は手作りを頑固一徹に守っている「あなただけの鞄」である。全ての人を顧客にしようと思っていないから高い値段が付いている。顧客にとってメリットがあるからである。買いたい欲しいという人をつくる商品戦略が必要である。Gショックの腕時計はダンプに引かせても大丈夫という特異性と限定販売で高い価格がついていた。
  • こうした戦略はむしろ中小零細企業がやりたい。大企業がやったのでは、必ず最後は大量生産で値崩れをもたらす結果になる。価格は需要と供給によって決まるという経済学の法則がある。  中小零細企業は、自社の仕組みも「高付加価値」にしなければならない。それには、損益分岐点の固定費を見直し、変動費化していくことが重要ポイントである。低固定費化の戦略をとることで経営体質を変えて行くことができる。この理論に基づいて、NPO法人高付加価値戦略支援センターが次年度の資本利益率と付加価値率の設定をしていく、経営計画立案の支援をしている。企業は経営体質を強化していくためには高付加価値の戦略をとることがポイントである。
  • 吹田市にある三和ハイドロテック(株)はポンプメーカーである。同社の経営計画方針書は、最初にタイトルとして「高付加価値企業を目指す」書かれて経営者の方針がつづられている。その中に、高付加価値企業のスタートとなる要素は「高付加価値製品」であると述べられている。同社の高付加価値製品の一つは、「マグネット・ポンプ」である。従来のポンプはケーシングの中のインペラーを回転させる軸は、外部のモータから伸びたシャフトで伝導されるので、ケーシングとシャフトの隙間は中の流体が漏れないようにシールする必要があった。同社のマグネットポンプは電磁石を反発させるマグネット部分をケーシングの中に取り入れてしまったので、シールレスポンプになったわけである。引火性ガスや毒性の流体を扱う企業に大好評である。しかも、競争優位の位置を占めるために、ポンプの標準化によって4〜5日の納期で出荷できる生産体制を築き他社の参入をゆるさない。これは、最初から高付加価値の路線を取ったためである。高付加価値であれば、中小企業でも優秀な人材を確保できるし、設備も自動検査設備とか短納期で生産できる体制を年々強化してライバルを寄せ付けない。また、年々新製品も投入し、今では、新開発のマグネットポンプが売上の50%越えたのである。  中小零細企業のあるべき姿として、高付加価値企業を目指すべきである。

 5.働き手の満足
  • 中小零細企業の将来のビジョンを実現できるかどうかの鍵を握っているのは働く人の質・力量である。もし、人づくりに成功するならば、必ず発展充実するであろう。 また、企業は、営業機能を強化することによって、現在の顧客を愛顧客に変えることができ、新規顧客開拓もできるようになる。新しい顧客の創造を行わない限り企業の明日はない。どんな顧客も長期の間には、衰退が始まるからである。それを避けるために顧客は新しい事業分野に進出することによって従来品や従来のサービスを必要としない状況がやってくる。企業は常に顧客の情報を収集し、分析しなければならないし、その顧客を満足させたいなら、訓練された優秀な営業担当者を配置しなければらないない。しかし、その前に働き手である営業マンを満足させなければ上質のサービスは提供できない。
  • ある販社の中期経営計画書には「働き手の満足と顧客の満足度向上を目指す」と書かれてある。  中小零細企業の中には、従業員が高い満足度を得ている企業がある。大阪市にある株式会社YAMATOというベンチャー企業で、コンピュータソフト会社を顧客とするメディアデュプリケートサービス(ソフトの複製)、ソフト一式の組立包装、物流などのサービスを行う会社である。川合アユム社長が率いるこの企業は一切の管理なしに社員が主体的に頭を働かせて効率よく、効果的な仕事をして高い成果を出している。その仕組みはPD制と呼ぶプロジェクトドライブ制である。このPD制とは、社員が何をやりたいか手を挙げてその採算や社会的効果を役員会が評価して予算をつけて執行を任せる仕組みである。川合アユム社長は「会社は個人の自己実現を支援するための場の提供」と言われる。このために役員立候補制、給与自己申告制、PD制というようなユニークな会社制度を採用。「今や企業に求められていることは、アントプレナーの育成とその人材が育つ環境づくりが目的である」と主張され、実践されているのである。

 6.顧客満足度
  • 顧客の高い満足度は、どのようなときに得られるのであろうか。誰でも日常、お客様の立場の体験をしている。店員からこちらの期待より大きいサービスを受けたときに満足が得られる。しかも、店員の親切、誠実な態度に感動を受けた時には満足度は最高になる。  このように、顧客を満足させるには、顧客に一歩先んじた提案をするということ。顧客も利便性が極大になるという事実に気づいていない場合が多いので、提案によって気づいてもらう必要がある。売り込みではなく、自分にして欲しいことをお客様の立場に立って考え、喜んでもらえる営業である。 顧客が求めているのは目に見える技術・技能そのものではない。例えば、「お陰で早く処理できるようになった」という顧客の利便性であることに気づいた経営者がいる。
  • 製造業であろうと、販社・サービス業であろうと、顧客の欲しい利便性が最大になるような提案とサービスの提供をしているところが元気な企業である。  最初に述べたように、相手の立場に立って考えるときに顧客は喜んでくれるはずである。 有楽町の百貨店に女性初の店長が誕生したとき、その女性店長は全店員を集め、自分の成績のために決して売り込むことがないように戒め、「お客様に三つの満足」を与えるように動機づけた。最初の満足は、店頭で買い物をしたときの満足。2つ目の満足は、お客様が家に帰ってから身につけて買ってよかったと思う満足。3つ目の満足は、そのモノを目的のパーティとか、同窓会とかに身につけて行ってそこで「良いものを身につけているね、どこで買ったの?」と他の人から誉められたときの満足。この3つの満足をお客様に与えようと店員たちに動機づけをした。結果として、百貨店のどの店も前年度ダウンの中で、女性店長が売上伸長を果たしたのである。


 まとめ
「求められる企業像」のイメージはいろいろあると思われる。すべて同じものでなく、その企業独自の個性があってよいはずである。企業の善し悪しは顧客と社会から評価される。お客様が直接満足していても、環境破壊につながるモノを使用していたり、産業廃棄物を捨てていたり、多量のゴミを出していたなら評価されないであろう。その意味でISOの認証取得のコスト負担も必要ではないだろうか。  企業像で重要なポイントは、中小零細企業がどのような企業文化(組織風土)を醸成するために努力しているかである。経営者はリーダーシップを発揮し、従業員は危機感を持ち、自ら進んで、企業理念を共有化、自信と信頼のもとに仕事をなし、企業や関係者に感謝の気持ちを持ち、より高い欲求水準をめざす姿勢を持つ。このような企業は規模の大小ではなく、美しい企業文化の華がひらく。そして、企業の存続と発展を保証するものは、
1.商品戦略を持つこと、  2.企業文化を形成することである。

2001.11.19

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