「コーチング」
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株式会社ウイズダムマネジメント 中小企業診断士 長谷川好宏 |
冬季のトリノ・オリンピックは、フィギアスケートの荒川静香さんの金メダル1つでした。 しかし、メダルにあと一歩という選手もたくさんいました。荒川静香さんの背後には、彼女の才能を引き出し、
彼女らしいフィギアスケートの美を表現させたコーチがいたのです。
ほとんどのスポーツ選手は「自分は本当に世界の水準を超えることができるのだろうか」と思っています。
トリノ・オリンピックで競技後の日本選手のインタビューを聞いていますと、とても明るく「次の大会を目指します」と目標が明確です。
従来の根性論を振りかざし、鍛えて教え込むというのでない。トレーニングは厳しいけれども、主体性をもって挑戦しています。
それはコーチが一人一人の持ち味、才能を上手に引き出しているからです。本人の自発的な行動をうながし、答えを引き出す育成方法がコーチングです。
- アメリカでは、スポーツのコーチング手法がビジネス界で部下育成に活用するための講習会が盛んです。 中小企業の経営者に人材について聞きますと、「自ら思考し、自ら行動できる人」が欲しいと言われます。
どんな人にも、その人なりの豊かな才能が眠っているものです。それを上手に引き出し、「動くから働く」に変える手法です。 管理者やリーダーが身につけて欲しい考え方です。
コーチングとは、「個人の自己実現をサポートするシステム」です。
マズローの「欲求5段階説」 |
1.生理的欲求 |
2.安全の欲求 |
3.帰属と愛情を得たい社会的欲求 |
4.承認・尊敬を得たいという自己尊重の欲求 |
5.自己の潜在能力を実現したい・独創的行動をしたいという自己実現の欲求 |
助けるのではなく、部下を下から支え、その人の才能や可能性を発揮できるようにサポートします。
- コーチングとは、手法としての技術・方法論ではない。
指示命令型のコミュニケーションではなく、上司と部下の間に結ばれる協働的な人間関係です。
コーチングの3つの哲学 |
1.人には皆、無限の可能性をもっています |
2.その人が必要とする答えは、すべてその人の中にあります |
3.その答えを見つけるためには、パートナーが必要です |
部下に必要以上に教え込むのはお節介になり、部下の中に依存心が生まれ、自発性が失われてきます。
- 拡大質問:「将来、君は何をやりたいんだね」 (答えが複数あり)
- 特定質問:「君は何年生まれ」 (意識が表面的でおわる)
- 未来質問:これから何をやりたいのか」 (潜在意識を引き出す)
- 過去質問:「どうして、それをやらなかったのか」
(過去の記憶に属し、その記憶が個立をさまたげる)
- 肯定質問:「どうしたらうまく行くのか」 (広がり、明るい、前向き、行きたい方向)
- 否定質問:「どうしてうまく行かないのか」 (窮屈な、暗い、行きたくない方向)
レベル1 |
耳で聞く |
雑念を取り除いて |
レベル2 |
口で訊(き)く |
質問する意、君の話を聞いているというサイン |
レベル3 |
心で聴く |
部下のために話は聞いていると思っていても、それは自分のあるべき姿を押しつけているという自分のためである場合が多い |
心理学でいう普遍的無意識を介して上司と部下がつながっているとしたら、上司の意識での質問は、潜在意識から直観によってわき上がってくる質問なのです。
上司は「リードしない」で、「フォローする」事が大切です。
部下の話を聞くときの体勢、聞く姿勢が重要です。
部下からして聞いてもらっているという実感。
上司は時間管理をします。
時間の長さでなく、むしろ、時間の質です 。
コーチングする際に、「部下にとって大事なことを確認する」ためのスキルです。
会社として業績につながる成果を生み出すための土台・土壌となる成果である「メタ成果」(より大きな、それを超えたの意)が得られることです。
その成果は、社員という人材を通して、全体的・永続的・予防療法的な企業の成果につながります。
上司・リーダーは、部下に対して、従来の一方的な「指示命令型のコミュニケーション」から双方向的な「質問型のコミュニケーション」に変えていきます。そして、部下自ら進んで成果を上げたくなるようなコミュニケーション環境を作り上げます。この根底には、「人は無限の可能性を持った存在である」というY理論的な人間観に立っています。
- 風通しがよくなる >> 指示命令型から質問型のコミュニケーションへ
- 雰囲気が暖かくなる >> X理論型の人間観からY理論型の人間観へ
- 活気が出てくる >> 依存型人材から個立型人材へ
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