明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.6 -

事業は販売にある

 2月は梅の花がほころぶ季節。
藤原道真が「東風吹かばにほい起こせよ梅の花 あるじなしとて春を忘なそ」と太宰府に左遷され、都を思いつつ詠(うた)った歌が思い出される。

 枚方(ひらかた)の光善寺に住んでいたとき、小学生の子供達が通った小学校が蹉蹴(さだ)東小学校である。
この地名「蹉蹴(さだ)」の由来は左遷される道真の妻子がこの地まで見送りに来て娘が父と別れるのを悲しんで地団駄を踏んだ所と言われている。

 梅の木はバラ科植物で中国より7世紀後半に遣隋使や遣唐使として大陸に渡った僧侶が苗を持ち帰ったものと推測されている。
寒い中にも春をつげる気品ただよう清楚な花が日本人の心にぴったり合ったのでしょう。
関西には梅林が多い。
大阪城の梅もほころび始める季節である。

 関西の経済も寒い冬を抜け出して梅の花のように、ほころび、経済の春が期待される状況に至っている。

 この1月、景気は「設備投資と輸出に支えられ、着実に回復している」と政府の月例経済報告で明るさが強調された。
一方、同日の日経新聞は2003年度の個人消費関連業界は低調で百貨店とスーパーは7年連続、家電は3年連続の前年実績を下回ったと報じている。

 中小企業がこうした薄明けについて行くには、自らマーケティング(売れる仕組みをつくる方策)で成功しなければならない。
よい商品、便利なモノを造れば、直ぐに売れると思いやすいが、現実にはなかなか売れない。

 最近、素晴らしい商品に出合った。
無断駐車を防止するチェーンゲートである。
しかも、値段が数十万円と工事付きの安い値段である。
一般のマンションなどで使われている価格の1/4の価格である。
無線でチェーンが上下する方式で会社やマンションや個人の駐車場に使える。
 これは工事会社の社長のアイデアであるが広告とホームページだけで直販方式をとっているが売れていない。
もったいない話である。

 プラスチック会社の社長は、仕事を請け負ってくれる品質と技術をもっている人を捜しているニーズを見つけて、その需要にあわせて小規模工場を増設していった。
売り先(顧客)を見つけておくことは賢いやり方である。

 ある食品会社の社長はこの不況に関わらず、新商品を売り出して増販に成功している。
この社長は同業の中で高生産性を誇っているのも、着実に商品と増客に成功しているからである。
これは先にニーズを聞き出し、顧客がOKを出すまで品質と低価格の商品開発に努力した結果である。

 BtoB、BtoC も、ビジネスは、売り手の立場に立つのでなく、相手、お客の立場に立って物事を考えることがポイントである。
お客の言われるままになることでなく、こちらの得意技をお客の側から考えるということである。

 先日、西日本一の豆腐メーカーを四国に訪ねた。
見事な絹こしと木綿の一貫生産ラインを見学させていただき、品質とスピードの生産方式に教えられた。
今、売れている豆腐はプラスチックの白い容器が2つ組になっている。
豆腐一丁が2つに割ることができるので消費者の主婦にとって、半丁は翌日のみそ汁に使うというように節約したい心理にこたえた商品である。
このために生産ラインは一丁と半丁に包装ラインのところで切り替わるようになっていた。

 売るためには買い手に合わせた工夫、お客の便益を最大にするための詰めの工夫が必要である。

 ターゲットは誰か、地域セグメントでの一番を目指すことが必要であり、資源を集中して狭い地域で勝利を計ることである。
このために戦略が必要になってくる。
中小企業は資源が少なく、人材も限られている。事前にどれだけ考え抜くか、机上で試行錯誤を繰り返して実践に臨むことである。
営業戦略なくして事業はない。
営業構造を良くすることが明日の経営をつくる。
(2004.2.1 長谷川好宏)
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