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- 経営者・幹部へのアドバイス No.10 - | |
実行を計画し、計画を実行する |
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あけましておめでとうございます。 健康で仕事に目標があって新年を迎えられました経営者、管理者、将来の幹部候補社員の皆様に心から新年のお祝いを申し上げます。 新しい始まりの時、新年、事業年度発表大会の時、プロジェクト開始の時には、この「実行を計画し、計画を実行する」というラニー・バッシャム氏の言葉がピッタリである。 ラニー・バッシャム氏は、テキサスで射撃学校を開いている方である。 かってのライフル射撃の金メダリストであり、1974年に打ち立てた記録は10年間破られることがなかった。 1976年のオリンピック大会では、金メダルに輝いた。 彼は金メダル級の実力者であるが、大会ではなかなか勝利を獲得することはできなかった。 多くのメダリストにインタビューを試みて、競技で勝利を得る秘訣はメンタルマネジメントであることに気づかされたのである。 このことを悟った結果が彼の記録に実証されている。 彼は引退後、射撃学校で射撃より、このメンタルマネジメントを教えた。 日本人でもこの学校に参加して腕前を上げた人たちがいる。 ラニー・バッシャム氏は、彼の講義の中で目標設定の10箇条を紹介しているが、その中で注目する言葉は、今回のテーマ「実行を計画し、計画を実行する」である。 この言葉は理解できるが、実行できるかどうかは別である。 多くの人はこのことを聞き、なるほどと思うが実行はしない。 人は、行動の前に手を休めて思考し、やろうとしていることを計画することを面倒と思うのである。 「思考する」ということは簡単なようでなかなかできない。 哲学者は思考・思索が仕事であるがそれをするための工夫が毎日の時間通りの散歩ではなかったか。 経営者でも、考える暇があれば、行動を先にする方がある。 走り出してから考える経営者もおられる。 「結果がよければよいであろう」と言われる方もある。 しかし、経営は責任が伴うものである。 自分の決断で企業存続を危うくすることが多々ある。 私が仕えた企業の経営者、福井清一氏(故人)は、「私の決断には750名の生活がかかっている」と言われていた。 社員一人に家族は平均4人とされての発言である。 それだけ慎重で、かつ決断は熟考の故に大きかった。 マグネットポンプで独創されている経営者は、新年度方針発表大会で、例年通り、創業者の言葉、経営理念から始まる新年度事業計画を発表された。 これで20回目とのこと、この方針と計画のために2ヶ月前より熟考を重ねて、新年度はどのような舵取りをすべきか熟考し、まとめられたものである。 この20回の経営計画をまとめられ続けられた結果が同社の業績に表れている。 そうそうたる理工科系の管理者の方々が育ち、リーダーシップをふるっている。 業界「No.1製品」を開発された。 そして、高付加価値を生み出している。 こうした結果はすべて、「実行を計画し、計画を実行する」という言葉通りである。 経営者は私に「これで20回目の計画、方向性を持って経営をやっていると決まってくる」と言われた。 如何に、計画を立てて、その通りに実行していくことが大事であるか物語っている。 実行したいことは、誰が、どのようなやり方で、どのタイミングで、どこから手をつけるか、思考し、それもいろいろな進め方を書き出し、決定する。 そこには戦略が求められる。 何事も早くすることは大事だが計画(プラン)を立てないで事を進めてよいわけがない。 ところが人は、その結果がよい方にでると、計画を立てなくても大丈夫となる。 経営はリスクを伴う決断が求められる。 しかし、リスクを興さないで回避するためには常にリスクの発生を考えねばならないし、事前に察知しなければならない。 計画をたてるということは、事前に発生するかもしれないリスクを机上で知ることである。 計画を立てるプロセスで大事なことは、結果よりプロセスでいろいろなことがヒラメキ、気づかせることである。 思考なしに実行を急げば、それなりの結果も出せるであろうが、限られた経営資源を有効に使い、経営管理で効果性をだしていくためには、計画に表す必要がある。 先のマグネットポンプメーカーでは、社長の経営方針と計画の発表を受けて、管理者は事前に思考し、部門計画を立案して発表するのである。 この部門管理者の発表は経営者の方針と計画立案をよく理解されて、ブレイクダウンされた目標を設定をされている。 経営者が方針計画をキチンと立てられることにより、部下達も目標が立てやすく、チャレンジできるのである
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(2005.1.1 長谷川好宏) | |
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中小企業診断士 長谷川 好宏