明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.17 -

経営方針の明文化が管理者の結束を生む

 経営者が、自分の経営方針を毎年 年度当初に明示すると、社内は結束し、その方針は実現し、成果をもたらす。これには、経営方針を話す順序が大事である。

第一番に、幹部社員である管理者たちに経営者の考え方、方針を話すことである。
幹部社員とは、経営者の代行が役割であり、信頼のおける人たちである。
彼らが経営者の意向をくみ取り、自分の方針にしなければ、その部下たち、一般社員に伝わるはずがない。

 住宅資材のメーカーの営業部長は、最も経営者の考えに賛成し、本気になって自分の部下たちに経営者の方針を咀嚼し熱情をもって語った。その結果、営業部門と工場部門の社員に意識の差ができたほどである。

 ポンプメーカーの経営者は、毎年度始めに、約2時間をかけて十数名の管理者である部長、次長、課長に、その年の経営方針を文書にして、逐次説明する。
その年度経営方針は、営業戦略から4S、電話のかけ方まで、このようであってほしいことを大項目から小項目の順に明文化された年度経営計画書に書かれてある。

 私は社長が丁寧に、熱情をもって力むことなく、わかりやすく自分の意向を語られるとき、なぜか、目頭が熱くなる。それは経営者として自分の信頼する幹部管理者に、自分の経営に対する意気込みを知って欲しいという思いが伝わってくるからである。

 この経営者のように、幹部社員である管理者たちに経営方針が徹底すると、彼らは自分の部門に戻って咀嚼した経営方針を受けて、自部署は何をなすかを末端の社員たちに徹底して語る。その熱情が社員の心を動かす。自分たちは日常業務の中で目指す方向が明確になり、自分がなすべきことが理解でき、実行する。

 それはオーケストラが指揮者の指揮棒のもとに一糸乱れずに調和の取れた演奏をするに似ている。この結果、このポンプメーカーは製品シェアNo.1の製品技術を確立し、他のライバルを圧倒し、高い付加価値を得ることができた。そして、顧客内シェアNo.1を目指して挑戦が続いている。

(2006.1.1 長谷川好宏)
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