明日を考える経営

- 経営者・幹部へのアドバイス No.18 -

戦略より経営の足腰を強くする

 オリジナル商品を創ることは、経営課題の1つです。

 アジア圏の日本を考えた場合、どのような戦略をとるかが経営会議のテーマにもなる。そのような時の分析方法として、経営の「強み・弱み」を見る「SWOT:スワット」分析が行われる。
機会 脅威
外部要因
強み 弱み
内部要因
  1. 外部環境が自社にとって、機会(チャンス)を活かすことを考える。
    一方、自社の経営を脅かす脅威にどのような対応をするのか。
    例えば、中国の安値商品、また素材・石油の高騰による原料高を価格転嫁できないこと、等。
  2. 内部環境として自社の技術・サービスの強みはさらに強化し、発揮する。逆に自社の弱みとなること、例えば、下請体質、営業力が弱い、高齢化・人材確保ができていない等をどのように克服していくか。
 これらのSWOT分析は大事であるが、今の経営に最も大事なことは経営の足・腰である実務の強化である。

 これをオペレーションという。SWOT分析から強み・弱みを明確にした後は、オペレーション分析を薦めたい。

 オペレーション分析は、次の図で示したようになる。
経営の実務の流れ、営業から物流出荷を経て、顧客に引き渡されるまでを図解し、製品・サービスが実現するまでのプロセス(主活動)を明らかにする。
 
 これは、各プロセス毎の「強み・弱み」を明らかにするために行う。
例えば、「営業プロセスの強みは何か」「営業プロセスの弱みは何か」を明確にする。

営業プロセスの強み 営業プロセスの弱み
優良企業3社との継続取引がある 提案営業ができ、クロージングが上手な営業マンがいない
先輩たちが作った営業ツールを活用できる 顧客ニーズの探索ができていないため、新規開拓ができていない

 経営戦略も大事であるが、オペレーションが弱ければコストダウンもできない、ムダの排除もできない。
トヨタ自動車、キャノン、ヤマト運輸は大企業だから、オペレーションの強い企業となったわけではない。

 優れた企業は、企業規模が小さい間に「優れたオペレーションの仕組み」をつくって、改善を積み重ねてきた成果である。このことが競争優位を構築していくことになる。

 オペレーションは、プロセス(機能)の集合から成っている。オペレーション・システム全体のバランスを保つこと、全体の効果が最大になるように調整していくこと、この事によって、優れたオペレーションにつながる。

優れたオペレーションにするには、次のことを仕組みに組み込むことである。
  1. 機能を明確にする
  2. 各プロセスにムダが少ない
  3. P−D−C−Aの品質サイクルが回っている
  4. 優れた指揮をする人を育てる
今後の経営環境にも対応するためにも、オペレーション分析を行い、現状を見直して経営の強化をはかることが求められる。
(2006.2.20 長谷川好宏)
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